数年前、中国のスマホ市場は大きな盛り上がりを見せ、シャオミやoppoなど数多くのブランドがこの市場で誕生した。しかし、直近のデータを見てみると、近年スマホ市場は低迷しているようだ。
2022年2月時点で中国のスマホ出荷台数は、前年より32%減少。そのうち、5G対応機種の出荷台数は前年より25%減少している。
つまり、中国のスマホ市場は、2016~2017年の最盛期を経た今、成長の鈍化が明らかとなっている。今では、若者が年に1回スマホを買い替える光景も見なくなった。
2015年では中国消費者のスマホ買い替えまでの平均時間は19ヶ月、つまり1年半ごとにスマホを交換していた。その頻度は世界の平均から見ても高かったが、2021年では、その頻度は28ヶ月(2年4ヶ月)まで伸びた。もちろん、アメリカの41ヶ月、イギリスの38ヶ月と比べると、まだまだ買い換え頻度は高い方だが、昔あれだけ新しい機種に替え続けた中国消費者は、なぜ買い替えの意欲を失ったのだろうか?
まず、7年前の中国スマホ市場を見てみよう。この時期の中国本土スマホブランドは、3ヶ月ごとに新機種を打ち出すことが珍しくなかった。新しい機能がどんどん追加され、その新しさこそが魅力的であった。
また、当時の中国スマホはすぐに劣化し動作が遅くなることも買い換えの一要因であった。さらに、当時まだスマホは完全に普及しておらず、スマホを所有することは家や車を所有するような身分の象徴でもあったため、ある高校生が自分の腎臓を売りに出してiPhoneを購入したという衝撃的な事件も発生したほどである。
では、7年前と比べ、今の中国消費者のスマホを買い換える頻度はなぜ減少したのか?
その理由は以下4点が考えられる。
・サイズやカメラの調整ばかりで、目新しいイノベーションがない
・新機種の値段が高い
・データ移行が面倒
・5G対応機の普及が予想より遅い
近年のスマホはスクリーンの大きさや、カラーなどの外見、およびカメラの個数や解像度の引き上げといった調整ばかりで、目新しいイノベーションが見当たらない。その上、値段ばかりが引き上げられているとなれば、確かに消費者の購買意欲は低下する一方だろう。
このような状況から、折り畳み式のスマホは、この状況を打開する希望の星と期待されている。しかし、中国のスマホメーカーも揃って折り畳み式の機種をリリースしたが、折れ目に故障が頻発するとして未だに普及の目処が立っていない。さらに、そもそもスマホを折り畳む必要があるのかどうかも疑問視されている。
また、一昨年から中国では5Gスマホのブームが来ると騒がれていたが、その普及が予想より遅くれている。
このように、消費意欲を引き出すのは、やはり革命的なイノベーションを行わない限り難しいかもしれない。
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