今月18日、テンセントが2022年1~3月期の決算を発表した。

売上高は1,355億元(約2.59兆円)と市場予想を下回り、前年同期から横ばいと上場以来最低の結果となった。純利益は234億元(約4,480億円)、前年同期比51%と大幅に減少していた。

政府の規制強化の影響が続いていることと、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したことが業績不振につながった。

■ゲーム

収入構成の内訳について見ていくと、収入柱であるゲーム事業では中国市場の収入が330億元(約6,320億円)と前年同期比1%減少した。

未成年ゲーム中毒防止策が間接的にアクティブユーザー及び有料ユーザー規模の縮小に影響を与えたことが原因である。

海外市場は106億元(約2,030億円)と前年同期比4%の微増に留まった。コロナ情勢が安定したことでユーザーの支出が落ち込んだことが原因。

今年4月に中国当局よりゲームライセンスの発行が再開され、ゲーム業界への規制に緩和が見られた。第一弾の発行許可リストにテンセントの名前は載っていなかったものの、同社は約9カ月ぶりの発行再開について前向きな姿勢を見せた。

■広告

広告事業は引き続き政府の教育·ゲーム業界への規制から影響を受けており、収入は180億元(約3,450億円)と前年比18%も減少していた。また、コロナ感染拡大により上海にある企業らの広告需要が低下していた。

同社は広告事業においてはコロナ情勢に左右されているため、回復の見通しは立っていないと示した。

■フィンテック/toB

フィンテック/toB事業収入は428億元(約8,210億円)、伸び率は10%増加と減速が見られた。

フィンテック分野ではコロナ感染拡大が決済サービスに悪影響を及ぼしていた。また、toB分野でも減収が起きており、同社は健康な事業発展を実現し、積極的に損失をもたらす契約を減らすことに努めると示した。

業績が低迷している中、創始者の馬化騰(ポニー・マー)は1~3月期ではコア事業以外を一部調整し、コストを抑え込み、今後さらなるコストの最適化を実現できると示した。

また、現地メディアの報道によると、テンセントは今後人員削減の可能性があることを示唆していた。今年の3月31日付でテンセントには11万6213名の従業員がおり、支払った給与の総額は292億元(約5,600億円)と売上高の22%を占めていた。

最近当局がテクノロジー企業を支援する姿勢を見せたことについて、同社の劉熾平社長は関連政策が実行されるまで時間がかかるため、すぐ事業に影響を与えるとは限らないと慎重な見方を示した。