近日、上海にあるスウェーデンファストファッション大手「H&M」の中国本土一号店が閉店になったことが話題を呼んだ。2020年9月の中国・新疆ウイグル綿花問題から約2年後、コロナ禍の打撃も重なり業績の低迷が深刻化していた。

ウイグル問題で批判殺到

H&Mは2007年に中国進出の足がかりとして上海にて一号店をオープンし、当時では大勢の消費者が押し寄せた。その後も中国市場で着々と事業を拡大していき、2018年の時点では店舗数が530店舗に達していた。中国に進出したファストファッションブランドの中では高い人気を誇っていた。

しかし、2020年に欧米諸国が中国に対して新疆ウイグル自治区で人権抑圧があるとして批判し、それに合わせて同社は新疆産の綿花を使用しないと発表した。その結果、中国政府及び現地の消費者から大反発され、SNSなどでは批判のコメントなどで炎上した。

画像
▲ weibo上のコメント(チャイトピより撮影)

また、タオバオや京東(JD)などのECプラットフォームでも同社に関連する製品は全て削除され、現在でも検索結果に表示されない状態が続いている。

画像
▲ タオバオと京東での検索結果(チャイトピより撮影)

現地の人々の愛国心に火がついたことで不買運動が起き、中国ブランドを支持する声が日に日に高まっていた。その後、H&M2021年3~5月期の決算では中国市場における売上高が前年同期比28%減の465億クローナ(約6,000億円)と大きく落ち込んだ。

急速な客離れに伴って閉店も進み、上海では先月末にも一号店と同規模の別店舗もひそかに閉店となった。ロイター通信によると、中国で現在営業中の店舗はすでに400店舗以下にまで減少していた。

コロナ感染拡大も一因

同社の閉店ラッシュには今年上半期における中国コロナ情勢のぶり返しと厳しい対策措置も影響を及ぼしていた。特に上海では3月末から約2カ月ものロックダウンが実施され、H&Mのような実店舗を展開している業界に深刻なダメージを与えた。

現在、中国のコロナ情勢はすでに沈静化しており、実店舗が徐々に営業を再開し、物流が回復したことでネット通販を再開するブランドも増えていた。しかし、未だにネット上で反発や批判を受け、ECプラットフォームからも追い出されているH&Mが巻き返すことは困難と思われる。

中国市場における同社の動向について、チャイトピは引き続き注目していきたい。