上海市政府が「デジタル経済発展の第14次5ヵ年発展計画」を発表。この計画でNFT産業を支援することを明記した。NFTが警戒されている中国では、NFTの発展に支援する姿勢を示した初めての都市となる。
以下は計画内容の一部である:
有力企業のNFT取引プラットフォーム構築を支援。上海でNFTなど資産のデジタル化や、デジタルIPの世界的流通、およびデジタル資産所有権確定・保護など、関連産業の試験的展開を推進する。
ブロックチェーンビジネスモデルの開発や、NFTなどビジネスモデルの開発に注力。仮想デジタル資産、アート、知的財産権、ゲームなどの分野でデジタル化変革や、デジタル技術の応用を加速させる。
警戒されてきたNFTビジネス
中国では、政府の監督から逃れようとするものを基本的に容赦無く禁ずる。しかし、世界をリードするための先進技術に対しては積極的に取り組む傾向にある。そのため、投機熱が高まった仮想通貨は禁止としたが、そのインフラとなるブロックチェーン技術は推進するなど、矛盾が生じている。
NFTに関しては、現在NFTを禁止としていないものの、金融投機を警戒し、NFTの二時販売を禁止するなど、政府は慎重な態度を見せている状態だ。
そのような状況でも去年の下半期から、中国ではNFTブームが起き、取引プラットフォームが急増。今年3月時点では100を超えている。しかし、政府の監督を考慮し、これらのプラットフォーム上ではNFTをNFTと直接呼ばず、デジタルコレクション(数字藏品)と呼んでいる。
今回、上海市政府が発表した産業支援計画は初めてNFTをNFTとして認め、その発展を支持する姿勢を見せたものである。上海での展開によっては、今後全国に広がっていく可能性もあるだろう。
ほとぼりが冷めてきたNFTビジネスの行方は?
他国においてはopeanseaにアクセスすれば、誰でも自由にNFTを売買できるが、中国はNFTの金融投機を警戒し、二次販売を未だ禁止としている。購入してもコレクション用にしか使用できないため、国際社会のNFTとは異なる路線を歩んでいることになる。
この制限が厳しいという背景から、最近では中国におけるNFTブームは勢いを失っているようだ。実際にNFTアートが売れなくなったことを受け、テンセントがNFT事業を撤退。取引プラットフォーム「幻核」を閉鎖する計画であることを現地メディアが報じ、投資家の間で衝撃が走っている。
今回の上海市政府の支援計画は、この状況を打開する一筋の光にように思える。しかし、これはデジタルIPの世界での流通、デジタル著作権の確認など、文化領域でのNFT活用に偏っており、金融投機目的のNFT活用の禁止方針は変わらないのだ。
国際社会とは異なる我が道を行く中国。果たして、中国NFTビジネスに勝機はあるだろうか。
関連記事: