中国の料理やサービスが日本で人気となり、直近では若者を中心に「ガチ中華」の人気が急上昇。2022年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされた。
ここ数年、テック企業のほか、ゲームやコスメなどの分野においても日本市場における中国企業の存在感が高まっているが、今回は今年にフォーカスし、2022年に日本上陸した中国企業をまとめていく。
SHEIN
最近日本で話題になっている中国ファッションブランドのSHEINは、2020年12月に日本語サイトをリリースし、日本市場に進出。
2年間の越境ECビジネスを経て、今年11月に日本初の常設店「SHEIN TOKYO」をオープンし、注目を集めた。
同社は中国広州のアパレルサプライチェーンを巧みに統合し、超低価格と早期からのKOLプロモーションと通して、世界のZ世代からの支持を獲得。現在の評価額は1,000億ドル(約12兆3,000億円)とされ、ZARAとH&Mの時価総額を足しても、その価値には及ばないほど、高く評価されている。
SHEINの上陸は日本のアパレル業界に刺激を与えており、今後Z世代消費者を巡る競争が一層激化すると考えられる。
🔗【独占取材】世界のZ世代に支持されるSHEIN、その成功の鍵とは?
BYD(比亚迪)
中国電気自動車大手のBYDが7月に日本の乗用車市場に正式に参入することを発表。2023年からSUVとコンパクトカー、セダンのEVを順次投入する。
同社は2021年から日本市場で電動バスを販売しているが、今回の正式な乗用車市場参入により日本メーカーとの競争が激化することが予想される。
BYDはハイブリッド車と完全電動車の2つの領域で、他社より豊富な車種を提供し、販売の拡大に成功。中国市場での業績は絶好調で、2022年の年間販売台数は150万台を超えている。
ポップマート(POP MART)
中国の人気フィギュアメーカーポップマートが7月に原宿で日本一号店をオープン。日本市場に本格的に上陸した。
同社は中国市場で、ブラインドボックス形式でフィギュアを販売し、若者を中心に人気を博している。同社が販売するフィギュアは、アニメやゲームのキャラクターではなく、デザイナー独自のコンセプトに基づいて作り出されたもので、「アートトイ」と呼ばれる。
2018年から海外進出を開始し、B2B形式で各市場のPOP MART商品に対する反応をテスト。各市場のうち、日本市場での反応が良かったため、日本で自販機による販売や、ポップアップストアなどを展開した後、消費者に直接アプローチができるよう一号店のオープンに至った。
🔗中国POP MARTが日本一号店オープン、アートトイを日本に広める
蜜雪氷城(MIXUE)
中国激安ティードリンクの蜜雪氷城「MIXUE」が東京の表参道で一号店を開店準備中。
中国の一級都市では、ティードリンクが20元(約400円)以上の価格で販売されることが多いが、同社の平均的な販売価格は6〜8元(約120〜160円)という激安の価格を強みに地方市場でシェアを拡大してきた。日本1号店もほぼ同等の価格設定とみられている。
コロナ後、中国の飲食業界は閉店が相次ぎ、大きな打撃を受けたが、同社は逆に店舗数を拡大。現在中国国内の店舗数は同業他社をはるかに上回る2万2,000店に到達。韓国や東南アジア市場への進出を経て、次は日本上陸に向け準備をしている段階だ。
パーフェクトダイアリー(Perfect Diary)
中国コスメのパーフェクトダイアリーは7月から日本のロフト、プラザでの販売を開始。
お手頃価格でSNS映えするアイシャドウや口紅といった特徴に加え、KOLマーケティングへの注力など、次々と話題を作り出し、流行に敏感な若い女性を惹きつけることに成功している。創業してわずか2年で大手の欧米ブランドをおさえ、中国最大ECイベント・ダブル11(独身の日)のメイクアップランキング1位に輝くほど人気を博している。
運営会社のYATSENは2021年に米市場へ上場。直近の決算では中国国内の売上低迷に陥っており、メイクアップからスキンケア分野への重点転換を行っているため、今後、日本市場でどんな戦略を打ってくるのか注目である。
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今までは中国という巨大なマーケットに日本企業が競って進出していたが、その逆のパターンとして、近年は中国企業の日本進出も一つのトレンドになっている。
中国企業においては、中国市場の成長鈍化や政策上のリスクにより、グローバル展開の志向が高まっていることが理由の一つと言える。その中で日本は先進国のうち、比較的人口と市場が大きく、海外企業にも市場を解放している点が魅力的に映るのであろう。
果たしてこれら中国企業は国内市場での成功を日本市場でも再現できるのか。これからの日本市場での活躍を期待していきたい。