コロナの影響でこれまで旅行欲求が抑制されていた分、今回コロナ規制が緩和されたことで、観光需要が再び高まることが期待されている。

昨年末、中国政府によるコロナ政策の大幅緩和を受け、3年間実家に帰れずにいた中国人は大移動を開始。特に1月21日から27日までの7日間は旧正月に当たる春節連休で、中国の旅行市場の動向を掴む重要な期間となる。

今回は、現地の旅行会社のデータを基に中国の春節旅行市場を分析していく。

海外旅行の需要が高まり、人気旅行先に日本がランクイン                      

まず、各社のデータを総合的に見ると、中国人の旅行に対する需要が春節期間に急増し、旅行消費市場の強い回復が見られた。

中国最大手オンライン旅行会社のTrip.com(携程)によると、1月5日までで春節旅行関連商品の予約数は前年比45%増加し、一人当たりの旅行消費額は前年比53%増加。

さらに、春節7連休の海外旅行商品の予約数は前年の春節より540%と大幅に増加しており、予約1件あたりの旅行支出も32%増加している。

春節の海外旅行先トップ10は、オーストラリア、タイ、日本、中国香港、マレーシア、アメリカ、シンガポール、イギリス、中国マカオ、インドネシアがランクイン。

また、旅行情報サイトの馬蜂窝は、中国マカオ、タイ、日本、インドネシア、オーストラリア、中国香港、シンガポール、マレーシア、ニュージーランド、アメリカを最も注目された旅行先として発表している。

オンライン旅行最大手Trip.comと旅行情報サイト「馬蜂窝」が発表した海外旅行先ランキング

日本はどちらもランキング3位となっているが、日本の水際対策強化により、現在中国で新たに取得できるビザは高所得層向けの「5年マルチ」のみとなっている。実質、春節期間は富裕層しか日本に行けないということだ。

日本を上回り、1位にランクインしたマカオは、観光客向けにワクチン接種を提供。欧米製のmRNAワクチンを求め中国本土の人々がマカオへ殺到し、いわゆる「ワクチン観光」が流行している。

タイが爆発的に人気

中国人観光客が海外旅行するにあたり、水際政策やPCR陰性証明、およびコロナ保険など、入国に関わることが注目するポイントである。

このため、中国観光客に対して特別な水際対策を取らず、中国人を歓迎すると明言したタイが注目を浴びている。特にタイの副総理が空港で中国人観光客を迎えたニュースが中国SNSで話題となったことで、現在タイへの好感度が急上昇している状況だ。

実際にタイは、水際対策を緩和した2022年4月以降、Trip.comグループの各プラットフォームでのタイ行き航空券予約数がコロナ前の8割まで回復。直近では中国観光客の予約数が爆発的に増加しており、2022年12月27日に中国政府が規制の大幅緩和を発表してから、2023年1月11日までの期間、春節海外旅行予約のうち、タイが圧倒的な1位となっている。

タイ国家観光局によると、2023年訪タイ中国人はのべ500万人だと予測され、2022年の18倍となる見込みだ。

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水際対策の強化によって、日本にしばらく中国人は戻らないと分析されていたが、日本が人気な観光地であることに変わりはなく、インバウンド消費を少しずつ回復させたい日本にとって良い知らせとなった。

中国人観光客が久しぶりに来日したら、どんな消費行動をとるのか、コロナ前の爆買い現象は再び起こるのか、現地の情報を引き続き伝えていきたい。

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