IPとは
IP(Intellectual Property)は直訳すると「知的財産」になる。中国では映画やマンガ、アニメ、ゲームだけでなく、ブランドや人物、イベントなども含まれるため、その範囲は非常に広い。
一定のファンと知名度を持つIPとコラボすることで、ブランドに新規顧客の獲得や認知度向上、売り上げ増加などの効果をもたらすことができる。
中国ではそうしたIPコラボが若者を中心に人気を博しており、ファッションやコスメ、飲食品など様々な業界でみられるようになった。
1月下旬は春節(旧正月)のため、直近数カ月では春節祝いのIPコラボが相次いで登場し、中国市場を盛り上げた。
今回、チャイトピ編集部は春節向けの中国IPコラボ事例を10個選出し、ご紹介したいと思います。
和平精英 × ローソン
中国の大人気バトルロイヤルゲーム「和平精英(Game for Peace)」とローソンがコラボし、補給物資をコンセプトとした内装にローソン店舗が早替わり。春節間近ということで、デザインには春節の代名詞ともいえる「舞獅(ししまい)」要素もふんだんに取り入られている。
店内では、コーヒーやハンバーガーといった商品のパッケージが限定デザインに変わり、イベントとしてコラボグッズのフリスビーを数量限定でプレゼントしていた。
また、オンラインではナッツやトートバッグが入っているギフトボックスを販売している。
ローソンはIPコラボに積極的であり、過去にも「ラブライブ!」や「ワンピース」といった作品とのコラボ店舗を現地で打ち出してきた。
SK-II × 大白兎
ウサギ年を迎えて、化粧品ブランド「SK-II」が中国の国民的ミルクキャンディーブランド「大白兎」とコラボし、特別デザインの化粧水とお年玉袋を打ち出した。中国語のウサギ「兔(tù)」と英語の「II(two)」という発音をかけた言葉遊びのコラボでもある。過去にもトラ年やウシ年、ネズミ年に新年限定デザインの化粧水を打ち出してきた。
真っ白なウサギがトレンドマークである老舗ブランドの「大白兎」にとって、今年はまさにコラボの大チャンスだ。SK-II以外にも、「コカコーラ」や高級品ブランドの「コーチ(Coach)」と春節コラボを果たしてきた。
Holiland × 王老吉
中国ケーキチェーン大手の「Holiland(好利来)」とソフトドリンクの「王老吉(ワンラオジー)」がコラボし、涼茶(漢方ハーブティー)味のケーキを打ち出した。
特徴として、ケーキは王老吉を模した缶入り仕様となっており、涼茶ゼリーに涼茶チーズムースなどの層から成っている。また、新年を祝う「吉」や「ウサギ」の形をした菓子4種が入った新年限定のギフトボックスもあり、ラインナップが豊富だ。
王老吉は中国の国民的なドリンクブランド。赤の背景色に大きな黄色い文字が特徴的であり、その色遣いと「吉」の文字が春節のイメージにぴったりなため、他にも様々なブランドとの春節コラボを果たしている。
ポップマート × 中国集郵
中国人気フィギュアメーカーの「ポップマート(POP MART)」が切手の製造・販売会社「中国集郵」とコラボし、新春特別ギフトボックスを打ち出した。
ボックスの中には、ウサギの王冠を被ったポップマートの人気キャラクター「MOLLY」の絵や十二支の剪紙(切り絵細工)模様が印刷された切手集が入っている。また、限定版コレクションカードやポストカード、お守りのようなグッズなども内包されている。
今回コラボとなったMOLLYは、ポップマートの新春ブラインドボックス(一番くじにあたる)シリーズに含まれており、同シリーズにはウサギだけでなく中華結びや春聯(春節グッズの一つ)などと春節要素が満載だ。
海底撈 × ミッフィー
中国火鍋チェーン大手の「海底撈」がオランダの人気キャラクター「ミッフィー」とコラボを果たした。コラボグッズとして、ミッフィーのオリジナルマグカップや食器、ヘアゴムなど様々なコラボグッズが打ち出された。また、海底撈では無料でネイルサービスを提供しているためか、ミッフィーデザインのネイルも数種類見られた。
さらに、上海や北京などの5つの都市ではミッフィーとのコラボ店舗も登場した。
日本でも有名なミッフィーは、ウサギ年を追い風に海底撈のほかにも「中国郵政(チャイナポスト)」などとコラボし、上海では特別展示会も開いた。
NEIWAI × ピーター・ラビット
中国アパレルブランドの「NEIWAI(内外)」はイギリス児童書の人気キャラクター「ピーター・ラビット」とコラボし、新春シリーズとしてウサギ耳の帽子やピーター・ラビットのパジャマやセーターなどを打ち出した。ターゲット層は家族やカップルの消費者に絞られている。
また、購入特典としてピーター・ラビットのシールを数量限定でプレゼントしていた。
ミッフィー同様、ピーター・ラビットもウサギ年の波に乗っかってIPコラボを展開しており、ほかにも現地人気ジュエリーブランド「HEFANG」などが例に挙げられる。
PEACEBIRD × ズートピア
中国ファッションブランドの「PEACEBIRD(太平鳥)」がディズニー映画「ズートピア」とコラボを果たし、主人公であるウサギのジュディのカーディガンやニットシャツなどを打ち出した。寒い冬を乗り越えられる温かそうな服であり、春節らしい紅白の縞模様となっている。
ズートピアは同時期にスポーツ用品メーカーの「李寧(Li-Ning)」とコラボし、同じく作中の人気キャラクターをモチーフとした運動靴が打ち出された。上海ディズニーランドではズートピアエリアの建設工事が着々と進んでおり、さらなる人気の高まりが期待できそうだ。
テスラ × HEYCHA
EVメーカー大手の「テスラ」が中国人気ドリンクチェーンの「HEYCHA(喜茶)」とコラボを果たした。「車」という単語にかけて、HEYCHAはチェリー(中国語で車厘子)を使った新作の赤いドリンクを打ち出した。新年を祝い、宣伝画像は同ドリンクと赤いテスラ、チェリーなど赤ずくめとなっていた。
コラボキャンペーンとして「テスラ1カ月利用権」やテスラのロゴ入り帽子などのグッズが当たる抽選イベントを実施した。
テスラは以前にも現地コーヒーチェーンの「Manner」とコラボしたことがあり、中国市場でより多くのファンを獲得し、ブランドを浸透させようと尽力している。
奈雪の茶 × 東阿阿膠
日本にも進出している中国人気ティードリンクチェーンの「奈雪の茶(NAYUKI)」が、生薬の阿膠(あきょう)を販売する老舗ブランドの「東阿阿膠」とコラボを果たした。阿膠が含まれているミルクティーに菓子を打ち出し、春節らしい赤いテープを数量限定でプレゼントしていた。
また、奈雪の茶のコラボ店舗では提灯にぶら下がった紙に書かれた謎を解く「猜灯謎」を模したイベントも開催された。
和風なイメージが特徴の奈雪の茶だが、中国ブランドを支持する国潮ブームにより、こうした外国風なブランドへの風当たりが強くなっている。そのため、奈雪の茶はロゴから「の」を除くなど海外要素を排除し始め、古風な中国ドラマやアニメとのコラボを矢継ぎ早に行うなど、イメージの刷新に努めている。
安慕希 × 敦煌博物館
中国乳製品大手「伊利(yili)」傘下のヨーグルトブランド「安慕希(Ambrosial)」が、シルクロードの分岐点として有名な敦煌の博物館とコラボし、数量限定のウサギ年ヨーグルトを打ち出した。
箱の表面には色鮮やかかつ華やかな模様の絵が印刷されており、ヨーグルト容器へのデコレーション用パーツも付属されている。歴史と文化を感じさせる芸術的な模様が目をひき、国潮ブームという波をしかととらえたコラボといえるでしょう。
まとめ
今年の春節IPコラボの特徴をまとめると
- ウサギが主役
- 赤や伝統模様といった文化的要素は欠かせない
- 歴史ある現地の老舗企業やブランドがコラボ先として人気
今年はウサギ年のため、現地を含む色々なウサギのキャラクターが春節コラボの主役として大いに活躍した。また、Z世代の間で中国の伝統文化を支持する風潮が強まるにつれて、伝統工芸や民間芸術などの文化要素をふんだんに取り入れたIPコラボがどんどん増えていくかもしれない。
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前回の記事:
【第2弾】 中国IP(知的財産)コラボ十選!!
【第三弾】中国IPコラボ事例十選!!(サンリオ、マクドナルドなど)
【第四弾】中国IPコラボ十選!!(テスラ、原神、ジョジョなど)