バーチャルヒューマンは日本でこそまだ浸透していないが、若者が新しいものを受け入れやすく、テック大手も関連開発を進めている中国では、バーチャルヒューマンの発展に拍車がかかっている。
現地の調査会社「艾媒咨询(iiメディアリサーチ)」によると、2021年バーチャルヒューマンの産業規模は1,075億元で、2025年は6,402億元(約12兆円)にのぼる見通しだ。
実際にアリババにバーチャル社員として入社した「AYAYI」や、douyinで840万フォロワーを獲得している「柳夜熙」など、中国でバーチャルヒューマンの話題性は高い。CM出演やイメージキャラクターとして活躍するなど、すでに商業価値が拡大している状況だ。
このバーチャルヒューマンを起用しているのは中国企業だけではない。今回、日系企業である新日本製薬もこのバーチャルヒューマン起用に乗り出した。現在、日系企業によるバーチャルヒューマン起用は大変稀なため、チャイトピはブランド視点から見るバーチャルヒューマンの価値や広告起用の魅力など、同社の取締役である羽鳥誠一郎氏にお話を伺った。
中国進出への挑戦として、初めてバーチャルヒューマンRiaを起用
新日本製薬傘下のスキンケアブランド「PERFECT ONE FOCUS」は、2023の1月からRED、weiboなど中国SNSで公式アカウントを開設。同時にTmall Global(天猫国際)に旗艦店をオープンし、中国市場に本格的に進出した。
今回、さらなる認知拡大を目的とし、インスタグラムなどで活躍する日本のバーチャルヒューマン「Ria」を起用したプロモーションの実施に至った。
▲バーチャルヒューマンRia(RiaのRED公式アカウントより)
「中国は特殊なマーケットであり、日本での事例がそのまま通用するとは限りません。バーチャルヒューマンはまだ日本では浸透していませんが、中国はもとよりグローバルではすでに大きな市場があり、話題性もあります。新たに中国市場でチャレンジする当社と、トレンドの先駆けであるバーチャルヒューマンは非常に親和性が高いと感じています。
現在コロナ禍で様々な行動制限がある中、バーチャルヒューマンは現実世界の人間に代わって時間や場所にとらわれず自由な活動(生き方)ができる点が魅力です。また、本物の人間に見えるほどのリアルさや、近未来を感じさせる世界観、その一方で親近感なども感じさせ、面白い意味での違和感・矛盾というのも魅力的だと感じます。」(羽鳥氏)
狙いは中国Z世代の獲得
オンラインで活躍する中国Z世代(1995~2010年生まれ)は3.42億人で全体の23%を占める。彼らの購買力は高まりつつあり、将来中国の消費主力として期待されている。
ミレニアル世代と比べ、Z世代は高速インターネット、スマートフォン、そしてSNSが当たり前のように存在する時代で育てられたため、バーチャルヒューマンやメタバースなど、最新のテクノロジーに興味を持ちやすく、それらにお金を費やすことも多い。
「艾媒咨询(iiメディアリサーチ)」の調査によると、2022年中国におけるバーチャルヒューマン愛好者の特徴は以下のとおりである。
・19~30歳の若者が全体の63.4%
・女性は56.8%
・65%は中高収入者(月収5,001~15,000元)
・69.4%は2級都市以上に在住
「中国のZ世代は他の国の同世代よりもパワーがあると感じています。しかし、新しいもの好き、好奇心旺盛といったポジティブな面を持つ一方で、ストレス社会に生きる世代です。
そんなZ世代が理想とするライフスタイルを送っているRiaを起用しました。
明るく活発なRiaのキャラクターは、女性の活躍をグローバルで応援している「PERFECT ONE FOCUS」とも親和性があるため、今回の起用によって多くの女性に元気を与えるブランドメッセージを発信していきたいと思っています。」
「今後については、今回の反響によっては引き続きRiaを起用する可能性もありますが、新たなバーチャルヒューマンとのコラボも視野に入れたいと考えています。」と、羽鳥氏は語った。
中国市場は日本より何倍も大きく、日本企業にとって魅力的なマーケットである。しかし、競争の激しさが増している中、成功する事例もあれば、失敗する事例もたくさんもある。デジタル先進国の中国において、こうした現地のトレンドを素早く施策に取り入れることは、市場を制したい日本企業にとって有効手段だと言えるだろう。
※ チャイトピの運営会社である株式会社unbotは、中国現地(上海/北京)に運営拠点を持ち、グローバルECパートナーとして、中国市場向けのEC店舗をはじめとする商品販売チャネル開拓支援、SNS運営やインフルエンサーを活用した中国現地プロモーション施策の企画・実行支援、訪日中国人向けのインバウンド施策支援を行うデジタルマーケティング事業を展開しています。上記のバーチャルヒューマン案件にも携わっております。 また、日本の良いモノだけではなく良いコトも世界に届けるため、培ってきたマーケティングノウハウを活かして、中国において様々な形態のIPビジネスを実現するIPエンターテインメントコンテンツ事業を手掛けています。 もしも上記サービスにご興味がございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。 問い合わせ先:info@unbot.co.jp 社名:株式会社unbot(アンボット) 代表:代表取締役社長 中町 秀慶 所在地:東京都品川区西五反田8-8-15 カーニープレイス五反田 5階TEL:03-6421-7802FAX: 03-6421-7812 設立:2014年11月 (創業:2011年9月) URL:http://unbot.co.jp/
※アイキャッチ:「Ria」のREDアカウント画像参照