2022年web広告市場の伸び率は過去最も低い

▲中国web広告市場の成長率変化(出典:华创証券)

コロナ禍や経済減速に伴い、中国のweb広告市場も冷え込んでいる。

华创証券のレポートによると、2022年中国web広告業界の前年比伸び率は6.1%と大幅に成長鈍化しており、過去5年間で最も低い伸び率となっている。

考えられる理由は以下3つある:

・コロナ禍で経済が打撃を受けた
・中国政府によるオンライン教育、ゲーム業界への監督強化で関連広告支出が減少
・個人情報の取り扱いを規制する「個人情報保護法」の施行がweb広告の精度に影響

▲中国web広告市場の四半期ベースの成長率変化(出典:华创証券)

ただ、四半期ベースから見ると、web広告市場は2022年Q2で1%に転落した後、下半期から回復Q3とQ4はそれぞれ8%、9%の成長を果たした。

バイトダンスがアリババを追い越し、広告収入1位に。PDDやREDの成長が目立つ

▲ネット会社(プラットフォーム)の広告収入(出典:华创証券)

中国web広告会社の広告収入は、バイトダンスがアリババを抜き1位となった。PDD(拼多多)、テンセント、バイドゥはそれぞれ3、4、5位。

また、各社の成長率から見ると、RED、PDD、JD(京東)がトップ3社であり、市場平均伸び率の6.1%を超えている。

以下、各社のポイントをまとめた:

バイトダンス:douyin(中国版Tik Tok)のライブコマース事業の成長が広告収入成長に繋がり、中国1位のネット広告会社となった。

アリババ:douyinなど、他社ライブコマースプラットフォームの台頭により、EC大手アリババのGMVが減少。EC広告収入も初めてマイナス成長となった。

PDD:格安ECでユーザーを囲い込み。GMVの成長と伴い、広告収入も高い成長率を維持している。

テンセント:アリババと同様、広告収入が初めてマイナス成長に転じた。教育、金融分野の広告主の予算削減が原因だとみられる。

バイドゥ:広告収入のマイナス成長が続いたが、非EC広告ベースから見ると、市場平均の減少幅より小さい。安定したリスティング広告に対する需要を維持。

RED:広告収入の規模は大手との差がまだ大きいが、著しく成長を遂げた。

Weibo:広告収入の低迷が続いている。

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ここ10年において、中国web広告収入トップは、検索エンジンからEC、そしてショート動画の会社へと入れ替わっている。

アリババが2016年にバイドゥを超えたと思いきや、2022年にバイトダンスに抜かれる結果となった。そのバイトダンスも今伸び率鈍化の課題に直面しており、PDD、REDなど、著しく成長しているプラットフォームが脅威となっている。

中国市場に進出する日系企業にとっても、こうしたプラットフォームの勢力変化に合わせた広告施策が重要になってくるだろう。

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