中国の富裕層家庭が518万世帯に突入

人口が多く、GDP世界2位に成長した中国では富裕層にあたる人数が増え続けている。2019年の時点で富裕層の人数はアメリカを追い越し、世界一となった(クレディ・スイスより)。

▲2021年 中国富裕層の世帯数(出典:Hurun Wealth Report)

シンクタンクの胡潤研究院が発表した中国富裕層に関するレポートは、資産額600万人民元以上(約1.1億円)を「富裕層」とし、それ以上を「高純資産層」「超高純資産層」「国際的超高純資産層」に分類して調査を実施。

2022年1月までの富裕層の世帯数は以下の通りである。

  • 資産額600万元の「富裕層」:518万世帯、前年比2.1%増加(そのうち大陸は416万世帯、前年比2.2%増加)
  • 資産額1,000万元の「高純資産層」:211万世帯、前年比2.5%増加
  • 資産額1億元の「超高純資産層」:13.8万世帯、前年比3.5%増加
  • 資産額3,000万ドルの「国際的超高純資産層」:9.2万世帯、前年比4.1%増加

このように中国では強い消費能力を持つ富裕層が増加しており、世界が彼らの消費動向に注目している。彼らは一体何にお金を費やしているのか?レポートをもとに読み解いていきたい。

富裕世帯は何を消費しているか

胡潤研究院が750人の高純資産層を対象に調査を行った結果、日用高級品、ヘルスケア、娯楽、子供の教育などがメインであった。特に30歳以下の高純資産層は最も日用高級品を消費する傾向にある。

今後3年間で支出を増やす予定の分野としては、日用高級品がトップで56%を占め、前年比よりも3ポイント上昇。次に子供の教育(55%)、旅行(53%)、ヘルスケア(52%)と、この4つの分野が他の項目と大きく差をつけ上位となった。

また、4位にランクインした「ヘルスケア」は、富裕層の健康に対する関心が高まっており、健康が目下最も欲しいものにランクインしている。好きな運動はランニング、ウォータースポーツなどで、ゴルフや乗馬など、比較的お金のかかるスポーツを上回る結果となった。

次に好きな娯楽ランキングでは、旅行が1位となっている。2位にグルメ、3位にお酒を嗜むことが続いており、温泉、キャンプ、キャンピングカーによる旅行は初めてトップ10入りを果たした。

また、行きたい海外旅行先ランキングでは、モルディブが1位を獲得。次に日本がランクインしており、買い物に加えて、湖や山などの風景が旅行先を選ぶポイントとなっているようだ。

中国富裕層をターゲットにしたビジネスチャンスの考え方

消費が景気に左右されにくい富裕層は、ビジネスとして狙う価値があることは言うまでもないだろう。

実際にLVMHなどの高級品ブランドは、世界的に景気が後退している中で増収を達成。今年の第1四半期決算では、予想を大幅に上回る売上を獲得した。なかでも中国市場の寄与率は高く、同ブランドは「今年は中国が成長の原動力になる」と見通しを示すほどである。

また、富裕層の娯楽1位は旅行であることから、富裕層向けインバウンドサービスのチャンスが考えられるだろう。

特に日本は、中国ゼロコロナ政策の解除以降、最初に来日を遂げられたのは5年マルチビザを持つ富裕層(年収1,000万円以上)だけである。

さらに日本は買い物が便利という理由から、中国富裕層の間では人気のある海外旅行先となっている。

訪日インバウンドの再開に備え、これら富裕層をターゲットにした高付加価値のインバウンドツアーやオーダーメイドサービスなどはチャンスとなりそうだ。


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