SNSの発展に伴い、今や世界中で行われているインフルエンサーマーケティングは、中国でも欠かせないマーケティング手段として普及している。
中国の有名なインフルエンサーといえば、李佳琦(Austin)のようなフォロワー7,000万人以上のトップ級人物を思い浮かべる人が多いかもしれないが、今後消費の主力となる中国のZ世代はどんなインフルエンサーを好むのか、調査を実施した。
前提として、中国ではTwitterやインスタグラムなど、世界で流行しているSNSと異なり、独自のSNSアプリがある。10年前まではweiboが爆発的に人気だったが、今では新興SNSが台頭し、勢力図が大きく変わっている状態だ。
そこで今回はユーザー成長が著しく、広告主の注目を浴びているSNS、RED(小紅書)で活躍する人気インフルエンサー20人に対する社内のZ世代社員30人に投票をしてもらった。
この20人のインフルエンサーはメイク、ファッション、グルメ、ベビー・マタニティの分野から選出し、フォロワー100万人以上の今勢いのあるインフルエンサーである。
結果:
- 票数は分散し、個性が強いZ世代は好むインフルエンサーも様々であることがわかる
- インフルエンサーをフォローする理由として、個性的である人、コミカルであることが多くみられる
- Z世代とZ世代でない社員が好むインフルエンサーは、ほとんど一致しない
以下、票数の高いインフルエンサー5人を紹介する。
REDで563万人のフォロワーを持つ人気インフルエンサー。可愛らしい容姿とギャップのある言動が人気の要因となっている。
かつてフランスに留学し、ファッションデザインを勉強した経験もある。主に「フランスでエアコンがないとどれだけ暑いのか」、「パリで皮膚科の予約を取るのはいかに難しいか」など、留学中に遭遇した面白いエピソードを投稿。
帰国してからは日常生活で起きた面白いことをネタにし、飼っているモルモットの野菜を食べる姿を真似するなど、表情豊かでコミカルな人柄が人気である。
Douyin、RED、ビリビリなど数多くのSNSで展開し、主にメイク関連の動画を投稿。特に女性からの人気が高く、REDでは現在約850万人のフォロワーを獲得している。
タオバオのモデルを経てコスメのインフルエンサーになった経緯から、中国女性のメイクに関する悩み解消や、「つけまつげの付け方」、「身分証明書の写真用メイク」など、詳細に説明する動画が人気となっている。
また、化粧する前のすっぴんを見せることが多いため、インフルエンサーは美顔加工が必須だと思われている現代において、自然体で飾らない姿がファンからの信頼を得ている。
最近では、所属のMCN会社と揉め事になったものの、ファンから強い支援を受けた。
■易梦玲
1999年生まれのZ世代。最初はラッパー歌手の恋人として名が知られたが、その後個人のファッションやスタイルが多くのファンを惹きつけ、超人気インフルエンサーに成長を遂げた。
フランス風のファッションや、黒髪ロングのパーマスタイルに加え、愛嬌のある笑顔が特徴である。彼女が見せる「純欲風」スタイルは、多くの女性が真似をする対象となっている。
直近ではバラエティ番組やグローバルブランドのイベントなどにも参加し、女優に見劣りしないファッションとスタイルが話題となった。
■氧化菊
大学時代ミス・ワールドに出場し、広西省の代表として中国決勝大会に出場。2020年にはファッション&ビューティーブロガーとしての道を歩み始めた人気インフルエンサーである。
地方出身ということを活かし、シーツやカーテンなどの地味なアイテムを華やかなドレスに改造し、村娘がファッションモデルに変身する16秒のショート動画は200万以上のいいねを獲得した。
直近ではカンヌのレッドカーペットにも出場し、村娘でも自信を持つことで、成功の道に向かえるという価値観に多くの女性の共感を呼んだ。
■谷大喵
REDで202万人のフォロワーを持つインフルエンサー。最初は日常生活の面白いエピソードを投稿し、コミカルな言動が人気を呼んだ。
「子供は親の考え方をいつまでも理解できない」、「親がくれた月800元の生活費でどう過ごすか」「200元で顔を全てカバーできる学生向け化粧品」など、これらの動画は爆発的に人気となり、同世代学生ファンの囲い込みに成功している。
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中国のインフルエンサー業界は、入れ替わりが激しく、5年前と現在とでは人気のあるインフルエンサーの勢力図が一変し、新しいインフルエンサーも毎日登場しているような状態である。
また、起用するインフルエンサーによってインフルエンサーマーケティングの効果が大きく異なってくる。そのため、ターゲットが好むインフルエンサー、そして自社で取り扱う商材との相性を調査し、その結果を反映した施策を投じることが成功する上で必要不可欠だと言えるだろう。
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