上海で開催された「世界人工知能大会」で、話題の生成AIを含む、最新のAI技術が展示された。今回は筆者が現場に足を運び、現地で得た中国テクノロジーの最新情報をお届けする。

30余りの生成AIが登場

ChatGPTの登場により、世間に大きな衝撃を与えたことで、現在世界中で生成AIブームが起きている。今回の展示会においても、これまでのメタバースや自動運転など、ここ数年流行っていた技術に取って代わり、生成AIが主役となった。

▲展示会で登場した各社の生成AI

生成AIに必要な大規模言語モデル(巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された大規模言語モデル(LLM))は少なくとも30以上で、百度やアリババ、ファーウェイなどのテック大手はもちろん、AIスタートアップや大学の研究チームが競って言語モデルの開発を進めている。

▲センスタイムが開発した画像生成AI (筆者撮影)

他にもソフトウェア開発大手の金山は、オフィスソフトに生成AIを搭載し、自動的にテキスト、グラフを生成できる他、利用者の需要に応じて内容の修正や、美化が可能だ。

しかし、生成AIの商業化については、大規模な商業化への道のりはまだまだ遠く、百度やアリババも一部の企業にしかAPIサービスをオープンしていない状態である。

利用コストが高いことや、計算力が足りないこと、それらに加えて米国の禁輸措置によるAIチップの供給問題が中国生成AI発展の課題となっている。

人型ロボット、ロボット犬が集結

生成AIのブームを機にロボット業界も再び注目を浴びている。特に展示会の開幕式でイーロン・マスクが「将来、地球上のロボットの数は人間の数を超える」と予言を発したことは、ロボット熱にさらに火をつけるきっかけとなったと言えるだろう。

▲テスラの人型ロボットOptimus(筆者より撮影)

今回の展示会では、工業で導入されるロボットアームはもちろん、人型ロボット、ロボット犬など、様々なロボットが集結し、その中でもテスラは人型ロボットOptimus(オプティマス)のモデルを展示したことで大きな注目を浴びた。

また、中国企業によるロボット開発も進んでおり、スタートアップの雲深処が開発したロボット犬「絶影Lite3」と「絶影X20」は、ジャンプ、音声対話、追跡、階段昇降など、スムーズに行える。

▲ロボット犬(左)と手術用ロボット(右)(筆者より撮影)

さらに、スタートアップの達闼が開発した人型ロボットCloud Ginger 2.0は接客、案内、商品配達、番組出演、介護など、様々なシーンで利用が可能だ。

他にも手術に導入するロボットや、リハビリで活用できるロボットなどが展示されており、今後様々な分野でロボットの活躍が期待できるだろう。

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アクセス数が爆発的に伸びていたChatGPTは、6月にはリリースしてから初めてマイナス成長となり、資本市場では「”AIブーム “が “AIバブル “に変わるのではないか」という声が挙がっている。

それでもChatGPTに追いつこうと、中国企業は開発を加速させ、今後AIにおける米中競争がさらに激化することが予想される。一瞬のブームで終わらせないためには、生成AI技術がどこまで実用化できるかがカギとなってくるだろう。

※アイキャッチ写真:達闼が開発し人型ロボットCloud Ginger 2.0  (筆者より撮影)

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