7月中旬に、中国大手ECプラットフォーム「タオバオ」がライブ配信(=タオバオライブ)における「投げ銭」機能の内部テストを行ない、一部のライブ配信で利用が可能になっていると報じられた。正式に実装されれば、タオバオライブが打ち出されてからの約7年間では初めてのこととなり、多くの注目を集めた。

こうした変化は、タオバオライブにおいて従来の商品販売を中心としたライブコマース一辺倒から、雑談やゲーム実況といったコンテンツを中心としたライブ配信へと範囲を拡大したことを意味する。
投げ銭機能の実装は2020年から幾度となく噂され、直近数カ月でいよいよ現実味を帯びてきた。今年の2月には、タオバオが娯楽コンテンツをメインとするライバー向けに優遇政策を打ち出し、ユーザーの視聴時間などに応じて金銭的なボーナスを与え、ユーザーの増加をサポートした。また、大型ECセールスイベント「618」期間中には、ライブ配信で商品を購入することで投げ銭に酷似したエフェクトが表示される「捧场购(ライブ配信を支援する購入)」機能を実装した。
アリババがタオバオライブのジャンルを拡充し、コンテンツの充実化を図る背景には競合とのユーザー争奪戦の激化が関係していると思われる。特に、中国版TikTokと称される「Douyin」などのショート動画プラットフォームのEC事業が急成長しており、タオバオに脅威を与えている。そうした中で、アリババはライバル社の強みであるショート動画といったコンテンツ分野にも力を入れ始めた。今後に向けて、タオバオがどのような施策を打ち出すかに注目だ。
