中国大手コーヒーチェーン「ラッキンコーヒー(Luckin Coffee)」が今年4~6月期の決算を発表した。
- 売上高:62億元(約1240億円)、前年同期比88%増加
- 純利益:10億元(約200億円)、前年より黒字転換
- 営業利益:12億元(約240億円)、前年同期比385%増加
- 店舗数:10836店、前年同期比51%増加
- 1カ月あたりの平均購入者数:4310万人、前年同期比108%増加
昨年に初めて営業利益が黒字化を達成して以来、同ブランドの快進撃が止まらず、前年同期比で増収と黒字転換を果たした。また、売上高では四半期ベースで初めてライバル社「スターバックスコーヒー」の中国市場売上高の8.2億ドル(約1180億円)を追い抜いた。出店拡大も順調に進んでおり、6月には初めて中国市場で1万店突破を果たしたコーヒーチェーンとして大きな注目を集めていた。ラッキンコーヒーの影響力拡大とともに、中国コーヒーチェーン市場の勢力図が書き換えられていく。
同社の事業成長を後押しするのは、新商品の開発やマーケティングへの注力である。また、人気IP(知的財産)とのコラボキャンペーンも功を奏しており、『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』とコラボして打ち出した新商品は販売開始から1週間で売り上げ600万杯以上とヒットを見せた。
事業が急成長を見せている中でも、ラッキンコーヒーはライバル社への警戒を怠らなかった。同社の創業メンバーの一人である陸正耀は昨年10月にコーヒーチェーン「库迪咖啡(COTTI COFFEE)」を打ち出し、9.9元(約200円)の割引クーポンを配布するなどの低価格戦略により約一年足らずで店舗数は4500店に達していた。ラッキンコーヒーもこれに続き、一万店突破後に9.9元クーポンを打ち出し、今四半期の決算発表後で同キャンペーンを最低2年間は続けると示した。
かつて粉飾決算で上場廃止となり、窮地に陥っていたラッキンコーヒーは1万店突破と大逆転を果たした。その復活には、同社の事業再生が功を奏したことと、現地消費者のコーヒーに対する需要の増加が関係している。成長する中国市場では、今後も数々のコーヒーチェーンが生まれては熾烈な競争を繰り広げていくと思われる。競争の渦の中でラッキンコーヒーがどのような発展を遂げるのか、引き続き注目していきたい。