中国の大型ECセールスイベント「独身の日(ダブルイレブン)」期間中に、生鮮スーパー「フーマー(盒馬)」がECプラットフォーム「京東(JD)」に初めて出店した。親会社のアリババと京東はライバル同士であるため、フーマーのこうした異例な行動は大きな注目を集めていた。
中国全土への配送となるため、ラインナップはおやつや冷凍食品などの日持ちする商品が中心となっている。
一方で、鮮度が命であるお肉や野菜などは即時配達サービス「京東超市(京東スーパー)」にて配送先付近のフーマー店舗を選び、購入することが可能。
こうした出店の背景にはアリババが事業分割を行い、傘下事業部の独立化を推し進めていることと関係している。今年9月には物流関連の子会社「菜鳥」の香港上場を申請しており、フーマーなどの子会社も後に続くと考えられる。
また、京東に店舗を開設する理由としては、京東の整った物流システムがもたらす効率のよい配送サービスも関わっていると思われる。特に、京東には注文から1時間以内に配達することも可能とする即時配達サービスが整っており、各地にオフライン店舗を構えるフーマーのローカルサービスを推進することにもつながると考えられる。
フーマーがアリババ系列以外のプラットフォームと手を組み、活動の範囲を広げたことで、今後さらに他のライバル社である「拼多多(pinduoduo」や「美団(meituan)」などのプラットフォームにも店舗を開設する可能性も浮かび上がっている。同社の成長とその動向に引き続き注目していきたい。
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