11月の初めに、アリババの淘天集団(タオバオ・天猫をメイン事業とする子会社)がフリーマーケットアプリ「閑魚(xianyu)」を重要な事業として”一級業務”に格上げしたと中国メディアより報じられた。これは、淘天集団が今後同プラットフォームの運営に一層力を入れることを意味しており、大きな注目を集めた。

閑魚は中国で最大級のユーザー規模を持つフリマアプリである。運営会社による今年5月の発表会で、同プラットフォームのユーザー数がすでに5億人を突破し、出品者数は1億人近く、商品の数は10億点以上を超えたと明らかになった。ユーザーのうち、半数以上が1995年後生まれの若者であり、中古品売買に若者らが積極的に身を投じていることがわかる。

中古品市場が活発的である背景には、失業率の向上など中国経済の不透明感が強まっている中で、人々の節約志向が高じていることが関係していると思われる。EC業界における年に一度のセールスイベント「独身の日(ダブルイレブン)」も、今年はいくばくか盛り上がりに欠ける様相を呈していた。

閑魚の一級業務格上げと同時期に話題となったのが、日本フリマアプリ「メルカリ」より認定を受けた正規代理店「mercari市集」が閑魚に登場したことである。日本で出品されている商品を直接購入することができ、10万点近くの商品が出品されている。商品は主にアニメやゲーム関連のフィギュアやプラモデル、トレーディングカードといった若者向けのものが大半を占めている。

▲ mercari市集と出品されている商品の数々(筆者よりスクショ)

日本語版のポケモンカードなど、中国では流通しておらず、数の少ない日本の商品やグッズを求める中国消費者は多い。そのため、一部では出品が豊富なメルカリや日本のアマゾンサイトで直接商品を購入する「海淘(ハイタオ)」を行う者も見られ、SNS上では初心者向けの解説情報も多く上がっている。メルカリの正規代理店は、海淘におけるわずらわしい購入手続きを省略できると思われる。

メルカリが閑魚に注力していることも、Z世代の若者らが主体となる中国フリマアプリ市場の成長を見込んだ上での決断と考えられる。淘天集団が閑魚を一級業務に引き上げた後、中国のフリマアプリ市場でどのような発展を遂げるか、引き続き注目していきたい。

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