2023年は中国がゼロコロナ政策を撤廃し、経済活動を再開した一年となった。この1年の中国の経済、そして企業を巡る出来事の中から、チャイトピは10大ニュースをピックアップし、2023年を振り返りたい。
ChatGPTでAI風潮が高まる
ChatGPTは2022年末にリリースされ、高度な会話能力が世界に衝撃を与えた。日本と同じく、「生成AI」は2023年に中国の流行語にも選ばれ、AI風潮が広がるきっかけとなった。
中国でも2023年1月からChatGPTが注目を集め、「生成AI」や「LLM(大規模言語モデル)」といった言葉を耳にすることが多くなった。このChatGPTの人気を受け、百度やテンセント、アリババなどの中国IT大手が中国版ChatGPTの開発に乗り出し、11月までに少なくとも200以上の大規模言語モデルが誕生したと言われている。
ゼロコロナ政策が廃止に
中国政府は2022年末、新型コロナに関する規制を大幅に緩和。2023年1月8日には新型コロナウイルス感染症を「乙類甲管」から「乙類乙管」に分類を引き下げ、事実上「ゼロコロナ」政策を撤廃した。
パンデミック早期はゼロコロナ政策をいち早く講じ、コロナの封じこみに成功したことで、中国は世界より先に経済活動を再開したが、重傷率が下がった段階でもゼロコロナを続行したことで、国内で批判を受けた。
住宅ローンの前倒し返済が増加
住宅市場を活性化させるため、中国各地でローン金利を大幅に減少。これにより、金利負担を減らすことを目的に住宅ローンの前倒し返済が増加している。銀行は金利による収入減少を懸念し、前倒し返済の受け付けに制限。多くのクレームが寄せられ、社会問題となっている。
海外への団体旅行が解禁
中国政府は2月6日から海外への団体旅行を解禁。新型コロナウイルスの流行で2020年1月に禁止してから3年ぶりの解禁となる。対象国はタイやロシアなど20カ国で、8月から日本も対象国に加わった。
日本は中国の団体旅行解禁を受け、中国人インバウンド市場の回復を期待したが、国際便不足による運賃高騰などの課題もあり、中国人訪日客の回復が予想より遅れる状態が続いた。
中国が日本を抜き世界一位の自動車輸出国に
中国は2022年にドイツを抜いて世界2位、2023年第1四半期には、初めて日本を抜いて世界一の自動車輸出国になった。
1〜3月中国自動車の輸出台数は前年同期比58.1%増の107万台。日本の輸出台数は5.6%増の95万4000台で、前年同期の1位から2位に転落した。11月までのデータを見ると、年間輸出台数でも中国が世界1位になると予測されている。
CPIがマイナス成長に下落、デフレ圧力高まる
中国の7月消費者物価指数(CPI)は前年比0.3%下落し、2021年2月以来2年5カ月ぶりのマイナスとなった。8月にはプラス成長に転じたものの、10月と11月は2ヶ月連続のマイナスに。需要の低迷が経済を圧迫し、デフレの懸念が高まっている。
処理水海洋放出に対する中国の大反発
8月に日本政府が行った処理水海洋放出が中国で大きな波紋を呼び、中国政府が日本産水産物の輸入を全面的に禁止した。ネットでは、日本製品の不買リストが出回り、食品だけではなく、海洋由来の成分が含まれることなどを理由に日本の化粧品ブランドも影響を受け、中国市場での業績が一時的に下落する結果となった。
不動産大手・碧桂園のデフォルト危機
中国恒大集団の経営危機に続き、不動産大手の碧桂園も債務危機に直面している。
同社は8月に、今年1~6月期の純損益が最大550億元(約1兆1,000億円)の赤字になるとの業績予想を発表。さらに、同社が発行したドル建て社債2本(総額2,250万ドル)の保有者に対し、今月7日が期限だった利払いを履行できておらず、大手不動産企業のデフォルトが中国経済へ与える影響に世界が注目している。
トップインフルエンサー「口紅王子」が炎上
中国の超人気インフルエンサー李佳琦(Austin)がライブ配信中、紹介した商品に対し「高い」という視聴者のコメントに反論。「どこが高いの?」「真面目に働いてる?給料が上がらないのは自分のせいじゃない?」と発言し、SNSで大炎上した。
中国若者の失業率が高止まりしている背景もあり、この発言は傲慢だと批判が殺到。Austin本人だけではなく、紹介した国産ブランドも批判対象となり、対応に追われる結果となった。
タオバオがダブル12の開催を取りやめ
アリババ傘下のECサイトタオバオ(taobao)が今年のダブル12(双十二)イベントの開催を取りやめることを発表。
ダブル12は毎年独身の日(ダブル11)の後に開催するセールイベントとして、これまで11年間開催してきたが、近年の中国EC市場の鈍化や消費市場低迷の結果だと言えるだろう。
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